幼少期 5

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幼少期 5

 私の面倒を見てくれたのは祖母だった。ご飯を作り、服を着せ、寒い日には温めてくれた。悦子は、いつも私の世話をする時「迷惑千万、面倒この上ない」という態度で私に接したが、祖母は、私の世話を嬉しそうに焼いてくれた。  私の悩みに耳を傾けてくれたのも、祖母だけだった。悦子は、娘の悩みなど最初から聞く気がないから、私が間違ってもそんなことをしないように常に不機嫌を露わにして、近寄りがたいオーラを発していた。  だが、祖母は違った。私が独り言のように言ったことでも、SOSであれば聞き逃さず、できることがあれば、私の気持ちに寄り添う形で行動を起こしてくれた。
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