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幼少期 6
分かりやすいエピソードがある。
私は、雷が大の苦手で、高校生くらいまでずっと怖かった。
光より、音が恐ろしかった。上から響き渡る、威圧的なあの轟音。
雷が鳴るたびに、私は、青息吐息で、なにも手につかない有り様だった。
悦子は、雷を怖がる私に無関心なので、常に放置だった。
哲也は、まだ雷が鳴る前から、雷が来そうな空模様に心細くなっている私を見付けては、にやにや笑いながら
「怪しい雲が出たなあ~、怪しい雲!」
と、私をからかい、いっそう不安にさせる態度を取った。
いざ雷が鳴り始めると、哲也は、雷が怖くて震えている私に、勉強するように命令してきた。
私は、怖くてできないと訴えたが、自分の言うことを聞かない娘に哲也が即座に殺気立ったので、仕方なく、勉強を始めた。
私は、鉛筆を握ったが、震えて字が書けなかった。
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