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幼少期 10
要するに、私の話など聞くに値しない、私ときちんと向き合う気は毛頭ないという宣告だ。
これも、効果があった。私は、己の無力さや卑小さを思い知らされて、そう言われるたびにうなだれ、押し黙った。
悦子に対する顔色うかがいの強要。
そして、自由意思と表現の剥奪。
こういう経験の積み重ねが、私をじわじわと苦痛に満ちた人生に追いやることとなる。
今、思う。
もし祖母がいなかったら、私は、赤子ながらに放置され、自意識が形成される前にお陀仏していただろう。
だが、そのほうが幸せだった。その後の長い長い、終わらない苦しみを思えば。
悦子と哲也の食い物にされ、二人の欲望を満たすためだけの道具としてのみ生かされ続けるよりは、ものごころつく前に、放置されて死ぬほうが断然に楽だ。
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