幼少期 11

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幼少期 11

 幼少期の締めくくりは、幼稚園卒園の時の思い出だ。  幼稚園を卒園する時、先生が、一人一人に小さな手帳を配った。  その手帳に、自分に関するいろいろなことを書いて、幼稚園の思い出とするためだ。  その手帳の一ページに、こんな質問があった。 「将来、なりたいお仕事はなんですか?」  男の子も女の子も、みんな、思い思いになりたい職業を書いている。  私は、何一つ思い浮かばなかった。  なりたいお仕事?  なにもない。  なので、女の子の夢で一番多かった「花屋さん」と書いた。  本当は、花など微塵も興味はない。  私は、哲也と悦子により、自分の意志や気持ちを持たず、周りの顔色をうかがう存在になるよう、順調に調教されていたのだ。
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