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十三章 時節到来編 8
非人界は、まさに、私にふさわしい居心地の良い場所だった。
ここでの仕事は楽しく、やりがいがある。私は、その後も胎児付きのエサを連発したので、評価はうなぎのぼりだった。
朋佳さんから一度、
「亜紀ちゃんは、不老不死になる気はないの? それに、若返ることだってできるんだよ?」
と聞かれたが、私は、断った。
非人界で、生まれて初めて心穏やかな毎日を過ごせるようになったが、それでも、長生きしたいとは思わなかった。
寿命が近づいたら、若返り、適当な男を見付けて子を宿し、自分自身を非人のエサとして差し出す。非人界に来る前、私は、散々辛酸を舐めさせられてきたのだから、非人の舌を満足させる自信がある。
それが、私が決めた、私自身の末路だ。
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