プレプロローグ 4

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プレプロローグ 4

「亜紀子さんの時は、どうだったんですか?」 「亜紀ちゃんが、非人界の従業員になったきっかけは? てこと?」 「はい」  俺は、無意識に身を乗り出していた。俺も、その話は聞いたことがなかったし、興味があった。 「うーんとね・・・」  朋佳さんは、少し考えをまとめるような間を置いてから、口を開いた。 「亜紀ちゃんはね、機能不全の家で生まれ、育った人なの」  俺と彩夏は、異口同音に聞き返した。 「機能不全?」 「まあ、虐待されて育ったってこと。それも、傍目にはもちろん、本人自身も気づきにくいやり方でね。そういう人って、子ども時代ももちろん辛いけど、大人になってからはもっと大変な思いをさせられるのよ。普通の親元に生まれていればしなくていい苦労を、人の何十倍も背負わされて・・・見てて、かわいそうだった」  そう言って朋佳さんは、沈んだ表情でうつむいた。普段、朗らかこのうえない人なので、その様子はいっそう痛々しく見えた。
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