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幼少期 1
私の生まれた町は、東北の僻地にあった。
四十年前の町人は、五千人程度。電車は通っていない。その代わり、バスが一日に三本走っている。コンビニもない。あるのは山と田、そして空と虫。
私の家は、道路に面することもなく、道路からさらに小道を進んだ奥まった場所に建っていた。
敷地は広かった。表の庭に裏庭、池、井戸、田と畑、そして住居は、一階だけで十畳間十個分ほどの広さがあった。加えて竹林に栗林、ほかにも山菜やキノコの取れる山を所有していた。あの界隈では、裕福な部類の家に見えたことと思う。
裕福であることは、普通、幸福につながるものだ。
だが、私の人生は、幸福とは対極に位置するものだった。
親である二人が、鬼畜の人でなし、有毒物質以外のなにものでもなかったからだ。
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