幼少期 2

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幼少期 2

 私の顔には、右の眉毛に、今でも残っている古傷がある。  ものごころつく前にできた傷だ。  その傷のため、そこだけ眉毛が生えないので、傷の場所は一目で分かる。  この傷はいつ、どうしてできたのか。  幼い時分、私は、何度か身内に尋ねた。  だが、誰も教えてくれなかった。曖昧にはぐらかすだけ。  私は、悦子が犯人だろうと踏んでいる。  なぜなら、悦子には、一度、殺されかけたことがあるからだ。  私は、ある時、喉が渇いて、水が飲みたいと悦子に訴えた。  だが、悦子は、断じて水を飲ませなてくれなかった。
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