『重要書類』

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『市役所にて』 その日、市役所に訪れた三木。 受け付けに行くと、書類を 何枚も書かされる。 それを書いたら次の書類という具合に、 『重要書類ですから』という言葉しか言わない 市役所の受け付けの書類を書いていると、 最後に、こちらのほうにご署名を。 という書類をもらう。 そこには、 『生きる意味』 という答えのない問題があり、 悩むのだった。 なんとか書き終えた三木は、提出しようとすると、 『後日発送いたします』 という。 発送されてきたのは膨大な書類。 しかもすべて見たこともない文字。 同封されていた長い手紙には、 別人の名前がある。 明らかに誰かと間違っている。 友人の学者に調べさせると、それは、 現存しない幻の部族の文字 ハマヒポルテス形象形文字だった。 『重要書類』 ある日、大学教諭の能見は、大切な書類がないことに気づく。机の上は、書類の山。 埋もれてるのかと思い探すが、どこにもない。 それは、講義のための資料だった。 仕方なく、頭の中にある記憶だけで、講義をするしかない。 講義がはじまる。 『えーと、人間たまには無我の境地に達することも必要です。何も考えず、何もしない。無言無心の…』 何を言ってるんだ、こんなんじゃ講義になどならない。なんとかしなければ。 そうだ。キング牧師の言葉をかりよう。 『I have a dream today!』 だが、今の私には、夢どころか、 言葉も見つからない。 えーい!破れかぶれだ。 『自習!』 黒板に大きく書いて、 自分は、寝てしまう。 しかし、教室を見渡して気づいた。 一人もいない。 教室を間違えていたのだ。 204号室が、授業をする講堂だ。 ここは、304号室。 階を間違えた。
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