26人が本棚に入れています
本棚に追加
1 L’Apéritif (食前酒)
むかしむかし、あるところに、ひとりの姫さまがおられました。
モッツァレラチーズのように、白くみずみずしい肌、ぷるんとしたほっぺたに、かわいらしいそばかすが、まぶした黒胡椒のようにてんてんと踊っておりました。
侯爵閣下は、「こりゃあ、炭の粉がふりかかったのかな?」と、ひとり娘をカルボナーラ(炭焼き職人)と呼んで、たいそうかわいがっておりました。
「いや、だからそれ、コンプレックスだって!」
姫さまは、ぷくっとそばかすほっぺをふくらませるのでした。
最初のコメントを投稿しよう!