14:繋がって融けて溺れたい

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14:繋がって融けて溺れたい

 どうなるか想像出来なくて怖いけど、なんでかこの人の言うことは信じられるような気がして。   「っん、んぅ……ッ」  とにかく痛みから解放されたい一心で、俺は外側に力を入れた。    だけど、   「っあ、うぁああ゙……!」  外に力を入れるということは、必然的に後孔が広がるってことで。  引っ掛かっていたカリが、ずるっと入って、あとはびっくりするくらい、引き込まれるように狭いナカを掻き分けて、全てが一気に収まった。   「っふぁ、ぅ、やぁ……っ」  急な刺激にびっくりしたものの、飽和状態の後ろの感覚に、ぶるっと身体が震える。    ナカが、満たされている。  ギリギリまで穴が広がって、痛くはないけど、キツい。下手に動けなくて、怖い。    俺、兄ちゃんのちんこ、全部銜え込んだんだ。   「大丈夫ですか……?」  吐息とともに吐き出される、余裕のない声。    Tシャツを捲り上げられてるから、直接背中に兄ちゃんの服が当たって、体温がじんわりと伝わる。    四つん這いの俺にのし掛かるような体勢だけど、その加減された重みが逆に、俺に安心感をもたらしてくれて。     「っはぁ、は……ッ」  何もしてないのに息が荒くなる。    少しの怯えと確かな興奮が、熱い後孔から全身に駆け巡る。    俺と同じくらい兄ちゃんの体温は高い。  尻に腰が密着してるのが分かる。  全部、入ってるんだ……。    声色は明らかに辛そうで、だけど俺が慣れるまでは動かないでいてくれる。  その優しさと、幸福感に似た気持ちが相まって、俺はやっと身体から力を抜くことに成功した。   「……すみません、痛いですよね……。馴染むまで動かないんで、安心してくださいね」 「っな、なあ……」 「はい……?」 「も、いいから、動け……よ」 「っえ、」  ぐんっ、とナカの存在が大きくなる。    後ろの、奥の柔らかいところが更に広がる感覚と、なんとも言えない沸き上がってくるような痺れに、身体がびくりと跳ねた。 「っあ、おっきく、すんな……!」 「す、すみません……っ」 「はやく、もう、大丈夫だから……ッ」  度重なる羞恥と、我慢。  長い間焦らされて、相手が男で自分が突っ込まれるほうだと言うのに、俺はもうすっかりその立場を受け入れてしまっているらしい。    鈍い痛みと焼けるような熱さの結合部から、じわじわと溢れてくる快感に流されるようにして、俺は急かした。    こんなので思いっきり突かれたら、多分まじで死ぬ。  だけど、それを期待してしまってる自分もいる。   「いいんですか?」 「いい、いいからぁ……っ」  甘えるような声が出て、男のプライドなんてあったもんじゃない。  自尊心すらどこかに置いてきた。   ……今だけだ。  この閉鎖空間のせいで、いやらしいことをされたせいで、おかしくなってるだけ。 「無理そうなら言ってくださいね」  耳許で囁く低い声にドキリとする。   『今の自分はおかしくなっているから』と心のなかで言い訳して、俺の意識はすぐに行為へと向かった。
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