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繭子は私の手を握ってそう言ったけど、結局それは繭子自身が離婚してほしいと思っている証拠なのだろう。
私のためなんかじゃない、それは全部自分のため。
【繭子は、最近彼氏とどうなの?】
【え?】
【彼氏とうまく行ってるの?】
うまく行ってるよね、あんな姿を見てしまったら……。もう元には戻れないに、決まっている。
【まあね。……でも離婚する気配はなさそう】
【ほら、やっぱり。そういうのはやっぱり口だけなんだよ】
【やっぱりそうなのかな】
繭子は分かっている、多分。翼が私と離婚する気がないってことを。
私が離婚したいと言ったら、翼はなんて言うのだろう。別れたくないと泣きついてくるのか、それとも……。
【そんな口だけの男、繭子の方から捨ててやれば?】
【……それが出来たら、苦労はしないわよ】
繭子は私にそう言った。
【繭子はそんなに好きなんだね。……その彼のこと】
翼は私のことなんかよりも、繭子のことが好きなのかもしれない。 翼は私を愛してると言うけど、それは本当に愛なのだろうか。
私だって翼のことを愛してる、そう思ってる。 でもそれでも、我慢できないことがあるんだ。
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