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「それは何に対するごめんなの?」
そう問い詰めると翼は、俯いてしまった。
「翼はさ、私の親友と不倫してたんだよ? それに対しては何も思わないの?」
そう聞く私に、翼は「……それは本当に申し訳ないと、思ってる」と答える。
「いつから?いつから繭子と不倫してた? 正直に答えて」
「……一年以上前、からだ」
やっぱり……。繭子が彼氏が出来たと私に報告してくれたのが、そのくらいの時だった。
やはり繭子と翼がそういう関係になったのは、一年以上前からだった。 その時から私は、翼にも繭子にも裏切られていたという訳か……。
「繭子から彼氏が出来たって聞いた時、私は祝福したよ。繭子が幸せそうだなって思って、親友としても嬉しかったのに。……でもまさかその相手が、あなただったなんて」
私は信じていた二人から裏切られていた。そんなことも私は知らず、繭子が幸せになることを望んでいた。
既婚者の彼氏……。それが翼だったと知って、言葉も出ない。こんな簡単に、人は裏切るんだって……。
「……ごめん、柚衣」
「私は謝って欲しい訳じゃない。……ねぇ、なんで私のことを裏切ったの?教えてよ、翼」
でも翼のこと、どこかで信じたい自分がいた。
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