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「……教えて。翼は繭子のこと愛してた?」
「違う……。愛してなんてない」
愛していないならなんで、不倫なんてしたの? 愛していないのなら、普通は不倫なんてしないでしょ……?
「私のことを愛してるって言ったのは、本当?」
「それは本当だ! 本当に、本当に柚衣のことを……」
「……その言葉、どうやって信じればいいの?」
私にはそれを信じる術が分からない。どうやったら信じられる?
「そう、だよな……。そう簡単に信じられる訳、ないよな……」
「そうだよ、もう信じられない。……二人して私のこと裏切って、私のこと嘲笑ってた訳?」
そう言った私に、翼は「違う! そんなことない!……そんなこと、ない」と腕を掴んで言ってくる。
「やめて!……触らないで」
翼との夫婦生活ももう終わり。私たちはもう、夫婦では居られない。
私はもう、翼と一緒にいるのが辛い……。
「柚衣……」
「翼、繭子に言ったんでしょ? 私とは離婚するって」
「っ! それは……っ」
やっぱり言ったんだ……。繭子の言葉はやっぱり正しかった。
私と離婚したいなら、そうすればいい。私だってこんな不倫男と一緒になんていたくない。
こんなのもう、うんざりよ……。
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