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美里の有給休暇申請も娘の欠席連絡も無事にとおり、石原家の四人は飛行機で東京へと向かった。
下の息子が一歳を過ぎたので、飛行機でも大丈夫だろうと。
かなり心配した宏夢だったが、息子は飛行中、泣きだすこともなくホッとしている。
彼も美里も乗り物に強いので、子供たちは似たようだ。
娘は好奇心いっぱいの表情で、ずっと外の景色を見ていたくらいだ。
東京の空港に到着して外に出ると、美里が嫌そうな表情になった。
「暑いわね……」
出身が東京で、二十五歳まで暮らしていた美里だったから、宏夢は苦笑した。彼は毎年、この時期に来るので、暑さに関しては諦めている。
「こんなもんだよ。
本社もホテルもエアコンが効いてるから身体は楽だしね」
笑う宏夢に、美里はうんざりした表情のままだ。
「すっかり北海道に慣れてたんだな……」
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