夫婦での東京行きは、リベンジの仕上げ

5/20
前へ
/60ページ
次へ
 ***  美里の有給休暇申請も娘の欠席連絡も無事にとおり、石原(いしはら)家の四人は飛行機で東京へと向かった。  下の息子が一歳を過ぎたので、飛行機でも大丈夫だろうと。  かなり心配した宏夢だったが、息子は飛行中、泣きだすこともなくホッとしている。  彼も美里も乗り物に強いので、子供たちは似たようだ。  娘は好奇心いっぱいの表情で、ずっと外の景色を見ていたくらいだ。  東京の空港に到着して外に出ると、美里が嫌そうな表情になった。  「暑いわね……」  出身が東京で、二十五歳まで暮らしていた美里だったから、宏夢は苦笑した。彼は毎年、この時期に来るので、暑さに関しては諦めている。  「こんなもんだよ。  本社もホテルもエアコンが()いてるから身体は楽だしね」  笑う宏夢に、美里はうんざりした表情のままだ。  「すっかり北海道に慣れてたんだな……」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

285人が本棚に入れています
本棚に追加