夫婦での東京行きは、リベンジの仕上げ

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 あの、耀士(ようじ)と不倫していたわけだから、複雑な気持ちになる相手だが、口の上手い人間に、大学を出てそれほど()っていない子が(だま)されるのは分かる。  だから、最低の人間というほど軽蔑してはいない。  不倫ではないが、美里も、耀士は真剣で一筋だと信じきっていたそうだから、彼女も、既婚者と知りながら気持ちが揺れたのかもしれない。  しかも、恵理は誰にも決して、二人の関係を明かさなかったというから、耀士にとっては本当に都合のいい不倫相手だったはず。  それなのに、さらに若い女とも付き合う。  結婚したいと思っても(かな)わない人間も存在するのに、耀士のような呆れた男が複数の相手と付き合える。  世の中は、不公平らしい。
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