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「昼からも会議ですから、食べながら話しましょう」
輝明の言葉に頷いた宏夢は、美里と一緒に子供たちを席に座らせた。自分たちも座ろうとした時、予想外の呼びかけが向けられた。
「美里?美里じゃないか」
自分の妻を呼び捨てにされて平然とできる夫は少ない。親しい関係で呼び捨てが当然の相手なら別だが、美里の親友二人の声ではもちろんない。
「え……」
呼びかけられた美里は、信じられないという表情で元カレを見つめていた。
その驚きも当然だ。
関東工場に赴任となった耀士の役職は、もちろん工場長ではない。なので、経営会議に出席するはずがない。実際、午前の会議に彼はいなかった。
「どうして……」
この場にいるはずのない相手を見た美里は、真っ青な顔で茫然とつぶやいている。
つぶやきを聞いたらしい耀士は、笑みを浮かべて返してきた。
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