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「はぁ?」
聞いた宏夢から、人生で初めてと思われる変な声が出た。
考えてみれば、大竹耀士という人間と関わってから、宏夢は人生で初めてが続いている。
平手打ちをされたのはもちろんだし、自分の失態を同僚に知られて軽蔑の目で見られた。そして、迷惑を掛けたと全員の前で謝ったのも……
思い出すと、美里が平手打ちした気持ちがよく分かる。怒りの限界が来たら、説明するより叩きたくなる。
もちろん、暴力が認められないことは承知しているが、謝罪をしない相手に対して、痛みを感じさせたいという気持ちになるのも当然だ。
「あれだけのことをして、よく、そんなことを言えますね。
美里は、仕事はできないし、結婚の決まった自分につきまとってくるし、最低な女って言ってたんですよ。
信じた僕も悪いですけど、本当に困ったって表情をしてたので……」
無視→別人と婚約→そのまま無視→悪い評価を上司に告げて転勤させる→さらに、転勤先の人間に悪印象を与えて辞めさせようとした……
そこまでしながら美里を復帰させようとする……地獄に落ちろ!と本気で宏夢は思った。
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