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「分かりました。
それじゃ、社食で偶然会って、大場主任にまず挨拶するということで。主任とは昨年会ってますから、挨拶しても不自然でないですからね。
ついでに、その男にも挨拶していいくらいですけどね。
昨年の会議の後、いろいろ教えてくださって、ありがとうございます。その彼女と結婚することになりました、という感じで」
スマートフォンの向こうから、くぐもった笑い声が宏夢の耳に届いてきた。一美が、声が響かないように、スマートフォンを押さえながら爆笑しているらしい。
少しして、深呼吸の音の後、一美の笑い交じりの言葉が返ってきた。
=石原さんのお好きなように。
本社の社員のほとんどが、彼の行い知ってますから、いい気味って裏で笑うでしょうね=
他の社員の気分が良くなるなら、親切にもなるだろう。
そんな意味不明な理屈と一緒に、宏夢は半月後、東京へと向かった。
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