苦くて、甘くて３ 東京は彼のリベンジの場所

最初のリベンジは、社員食堂での婚約発表

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　今回の経営会議、支社長は欠席になった。

　当然出席の予定だったが、入院になってしまったのだ。病気ではなく怪我。工場の床で滑って骨折。

　折れた個所が良くないらしく、半月ほど入院の後、自宅療養に入る。会議はその間に開催されるのだ。

　彼は相当恐縮していたが、会議は、宏夢だけの出席でもまったく問題ない。

　だが、いつもは二人で行く東京へ一人で向かう。普段なら、多少心細くなるだろうがが、今回はありがたいと感じていた。

　問題のある行動を取る予定なので、支社長と一緒だと不都合だった。

　どうやって単独行動を取ろうかと考えていたから、彼の骨折は意外な恩恵を宏夢にもたらした。

　支社長の不幸を喜んだわけだから、申し訳ない気持ちも当然ある。土産は少し奮発する予定だ。

　支社長は東京で働いた経験があって、おこし、という菓子が好きということで、今回は多めに購入するつもりだ。

　会議は無事に終了したと伝えれば、人のいい支社長は安心して、それ以上の報告は求めないだろう。