吸血鬼人形クオーレ

3/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 とある屋敷の一室。黒髪の少年の人形が、棺に入った姿で飾られていた。  その棺に、別の人形が入れられ、黒髪の少年の隣に並べられた。  少し汚れたような服装で、寝癖だろうか、赤茶色の髪はところどころはねている。この人形は、いまは亡き著名な人形作家が作り上げ、最期まで手放さなかった人形だった。  ぱちり、と、黒髪の人形が目を開く。静かな室内に、小さな鼓動が響く。  彼は起き上がり、隣に並ぶ赤茶色の髪の少年を見て驚き、小さく名前を呟いた。  ぱちり、と、名前を呼ばれた人形も目を開けた。黄色の瞳は光を受け入れ、輝く。  赤い瞳と、黄色の瞳がぶつかる様は、まるで星が輝き合うかのようだった。  やがて黒髪の少年が、赤茶色の髪の少年を抱きしめた。赤茶色の髪の少年も、強く抱き返す。  愛が混ざり合い鼓動を刻む。鼓動は重なり一つになる。  『生き返った』二人は、手を繋いで棺から出た。 【吸血鬼人形クオーレ 終】
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!