花わずらいのあまつゆ通り

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頬をも濡らす 面影ひとつ 石灯籠は 揺れて静けし  何も言わずに (そで)(ひるがえ)し 石の()(みち)に 足跡も無し あなたの花を 捜します 花わずらいの あまつゆ通り 空は晴れても 心はけぶる 言葉少なの 恋文だから 瞳を焦がす あなたは時雨 夢の姿に 重なるばかり あなたの花は ここにあり 花わずらいの あまつゆ通り ()く人来る人 見知らぬ顔で 雨、宿りては 佇むばかり 背中合わせの 熱に浮かされ 潮に濡れにし 袖も乾かず あなたの花は まだ遠く 花わずらいの あまつゆ通り
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