0人が本棚に入れています
本棚に追加
窓、ちゃんと閉めてたよな?
そっと右手だけカーテンの隙間から入れてみる。窓枠を掴んだ。少しだけ左右に揺さぶってみる。
スッ・・・・
窓が動いた。
「ヤバッ」
その体制のまま急いで鍵を締めた。
危なかった。気付いて良かった。
俺は胸を撫で下ろした気持ちになった。
それでも一応、窓の外の気配を伺ってみる。
10分程じーっとして聞き耳を立てていたが
人が居るような感じはしない。
大丈夫そうだ、良かった。
それにしてもいったい何なんだ。俺は立ち上がり冷蔵庫の中のパックのコーヒーをガブ飲みした。
その時、微かな声だがハッキリと
「ありがとう・・・・」
と聞こえた。
俺は恐る恐る声のした窓の方に視線を移し凝視した。
鍵は確かに締めたよな。疑心暗鬼になる。数回の自問自答で繰り返した後、つま先立ちで窓に近寄った。もう一度、右手で鍵を確認する。
ガッ・・・・
「うわーっ」
俺は叫んだ。大声で叫ぼうとした。だが、声が声帯で閉ざされて上がって来ない。一生懸命に声を出そうとしても「あーっ、あーっ」と息が漏れるくらいで全く声にならない。
掴まれた手を振り解こうとするが、掴んでくる力が強くて動こうとしない。
最初のコメントを投稿しよう!