忘れ物を探しに来た女

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窓、ちゃんと閉めてたよな? そっと右手だけカーテンの隙間から入れてみる。窓枠を掴んだ。少しだけ左右に揺さぶってみる。 スッ・・・・ 窓が動いた。 「ヤバッ」 その体制のまま急いで鍵を締めた。 危なかった。気付いて良かった。 俺は胸を撫で下ろした気持ちになった。 それでも一応、窓の外の気配を伺ってみる。 10分程じーっとして聞き耳を立てていたが 人が居るような感じはしない。 大丈夫そうだ、良かった。 それにしてもいったい何なんだ。俺は立ち上がり冷蔵庫の中のパックのコーヒーをガブ飲みした。 その時、微かな声だがハッキリと 「ありがとう・・・・」 と聞こえた。 俺は恐る恐る声のした窓の方に視線を移し凝視した。 鍵は確かに締めたよな。疑心暗鬼になる。数回の自問自答で繰り返した後、つま先立ちで窓に近寄った。もう一度、右手で鍵を確認する。 ガッ・・・・ 「うわーっ」 俺は叫んだ。大声で叫ぼうとした。だが、声が声帯で閉ざされて上がって来ない。一生懸命に声を出そうとしても「あーっ、あーっ」と息が漏れるくらいで全く声にならない。 掴まれた手を振り解こうとするが、掴んでくる力が強くて動こうとしない。
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