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俺は逃げようにも足腰が言うことを聞かない。両手だけで体を支え後ろに下がるのが精一杯だった。壁に背中が当たった。
俺は首を長くして左右に激しく振りながら叫んだ。
「お前の忘れ物は何なんだーーー!」
女は俺の顔に自分の顔を近付けて言った。
551の豚まんだよ・・・・
俺は「はっ」とした。
レジ前の床に忘れられてた紙袋に入ってたあの時の豚まん。
俺が腹が減ってたまらなかった夜の事だ。
女は顔を近づけたまま言った。
じゃあ、返して貰うよ・・・・・
「ぎゃあーー!」
女の右手が俺の腹をえぐって腸を引き出してむしゃぶりついた。
ズルズルと音がした。
美味しい・・・・
そして、満足そうな笑みを浮かべながら女は消えて行った。
それを確認すると俺は安心したかのようにゆっくりと瞼を閉じた。
完
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