プロローグ

1/1
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ

プロローグ

 2102年、政府が未成年の就労の禁止政策に乗り出したことにより、公の場から未成年アイドルは姿を消した。  しかし、その代わりに台頭してきたのが通称「IdA(イドア)」と呼ばれるアイドルアンドロイドたちだ。  高度な人工知能を搭載した彼女たちは、従来のアイドルのように10代半ばの少女の姿をしており、従来のアイドルの代替として一気に市民権を獲得した。  IdAにさらなる活路を見出したのは有名自動車メーカーA社だった。A社は、「アイネ」という名前のIdAを広告塔として売り出したのだ。  アイネはあっという間に人気を博し、A社の株価は過去最高値を叩きだす。アイネの活躍を見たライバル会社たちも、一斉に専属IdAを製造し始めた。IdAは、一度製造すれば維持コストは人間のアイドルほどかからない上に、スキャンダルも起こさなず、簡単に管理できる都合のいい広告塔だった。企業ごとに特色のあるIdAを保有することで、各企業は安定的な広告塔(マスコットキャラクター)を得ることができた。  そして、今やほぼすべての企業が、自社のIdAを持っている時代に突入したのだった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!