(第四章)二人の相性

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(第四章)二人の相性

 最初のゲームは「心の相性クイズ」  制限時間内にお題に合った二人の印象深い思い出をフリップボードに書き、ボタンを押して答えを同時に見せる。  内容が合えば点数がもらえるゲームだ。  席に座った二人の間には仕切りがありお互いの手元が見えないようにしている。  思い出のお題はチーム毎に変えられ、恥ずかしい思い出や感動した想い出など様々だ。  答えが一致したペア、的外れな答えに怒り出す彼女。  そんな姿に観客は大爆笑。  そして、最後の裕貴&亜里沙ペアの番になった。  二人が席に座るとお題が出された。  『彼女が彼を好きになったきっかけ』  ‥私が裕貴くんを好きになったきっかけは、森で迷子になった私を助けてくれた時。  そんなの裕貴くんに言った事ないし、分かんないよね?  逆に分かっていたら恥ずかしいんだけど。  あー、もう、どうしよう‥どうしよう‥  え?今、裕貴くんが頷いた? 「さあ、もう時間がありませんよ。4‥3‥2‥」  鈴音は急いでフリップボードに書いて、カウントダウンを止めるボタンを押した。  「書き終わったみたいですね! お二人同時にフリップボードを頭の上に!」  2人の間の仕切りが外された。  鈴音のフリップボードには森で助けられた時の事が書かれていた。  裕貴のフリップボードを見ると、同じ事が書かれていた。  鈴音は目を丸くした。 「おーっと!ピッタリです! ピッタリ一致しています!」  鈴音は下を向いて胸を抑えた。  心臓がバクバクしているのが分かる。  もしかして、私の気持ちバレてる‥?!  次のゲームは「体の相性ゲーム」  二人一組で女性がケーキの前に座り、羽織を肩からはおってもらい、男性が背後に入って袖を通す。  男性は何も見えない状態で、女性の言葉の誘導によって女性の目の前にあるケーキを食べさせる。  時間内に食べた量で点数がもらえるゲームだ。 各ペアは、ケーキを女性の顎や額や目に押し当ててしまい上手く食べさせられない。  観客はその姿に大爆笑。  イベントは大いに盛り上がっていた。  何組かのペアはケーキを口に入れることが出来た。  そして裕貴&亜里沙ペアの番になった。  鈴音が椅子に座るとアシスタントが羽織りをかける。  裕貴は鈴音の後ろに回り、羽織りの中に潜り込んだ。  鈴音の心臓の音を聞くかのように背中にピッタリと耳を押し当て羽織の袖から両腕を出した。  背中に裕貴の温かい体温を感じる事が出来る嬉しさと、鈴音の高鳴る心臓の音が裕貴の耳を通して伝わっている気がする恥ずかしさでパニックになっていた。  ドキン‥‥ドキン‥‥ドキン‥ドキン、ドキン‥  どれほど動揺しているかがはっきりと分かってしまうほど大きな音だ。  司会者のスタートの合図の後の5分間は何も覚えていない。  とにかくケーキを口に入れるのに夢中だった。  気がつくとゲームは終わっていて、ハムスターみたいに頬をケーキで膨らませた鈴音がいた。  観客から笑い声と共にワッと拍手が沸き起こった。
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