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風紀室の扉を閉めた途端、俺の携帯がルルルルルと鳴り出した。俺に電話をかけてくるやつなんてのはたかが知れている。どうせあいつだ。
全力で無視したいところではあるがこの前それをやった後………やった……あと………
…………恐ろしいことは思い出さぬが仏
ピッ
「あー、もしもし?」
『出るのが遅いわよこの前髪野郎!!!』
「口悪っっっ。女の子がそんな口調じゃいかんでしょうに。」
『私は顔が可愛いからいいのよ!…じゃなくて!定期報告が無いんじゃなくて?』
「あー俺なんか風紀委員の学年代表になっちったからさー。いつもの時間じゃ無理になったわ。よりブラックになったからな!!!」
この腐女子の友人……笹塚みかん(ササヅカミカン)はカメラでも付けてんじゃねえかってくらい俺がフリーになった瞬間にかけてくる。
『あら、そうなの?じゃあ定期報告の時間はいつもの3時間後でいいわ。その代わり怠ったら許さないからね。』
「へいへい。」
『そういえば、新入生歓迎会は?そろそろよね?なんか進捗ある?』
「よく覚えてんな…まだなんもねーよ。」
『あんた今年はどっちなの?また鬼?』
「逃げる側。」
『え!!』
突然声のトーンが上がり、キラっっキラなオーラが電話口から飛び出てくる。
『本当に!?じゃ、じゃあ追いかけられて、気づいたらもう逃げ場はない…!空き教室に男子高校生が2人きり、何も起きないはずがなく…!!』
「俺もう仕事あるから切るぞ。」
BL妄想ドリーマーになってしまったみかんは無視するが勝ち。
『あっ、ちょっと待ちなさいよ!学年代表ってなんなの?!もしかして例の強キャラドS委員長との関わりが増えたりするのかしら?その場合やっぱあんたは…』
「てか、お前なんで俺でそんなに妄想できるんだよ。生徒会の奴らで十分だろ?」
『あー…いや、供給はいくらあっても足りないよ!?あと、世の中には平凡受けってのもあるわけで…と、とにかく、なんでも美味しく食べれるのよ私は!』
食べるって…こいつ本当に中三か?おっさんだろ。
『と言うかあんた、あれ…結局どうなの?』
「………あぁ、あれか。」
『ふざけてたけど、もう2年目よ?そろそろ気づかない?』
「…いや、まだわかんねえよ。」
『…そう。別にどっちでもいいけど、結論を早く出して損はないわよ?』
「…そんなに急がなくても…なんなら別にわかんねえままでも別にいいだろ。」
『でもそこに通ってる以上は…。』
「あー、俺急がねえと。先輩に呼ばれてるから。じゃあな。」
『えっちょ、ちあ』
ブツッ…ツー…ツー……
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