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現ホワイトグリントのリンクスであるアナトリアの傭兵は、決死の覚悟を固めていた。事前情報によれば、企業連はついに本気で俺達を潰す気らしい。カラード№1と、強力な護衛が付きそう入り乱れた死闘が、すぐそこまで迫って来ているのだ。対して、現在のラインアークには、ホワイトグリントの背中を守れるリンクスなど、到底雇えなかった。誰も彼もが、ラインアークに背を向けている。それが現実だった。
ダメ!行ってはいけない!お願い!ここに残って!
フィオナは懇願した。この願いが聞き届けられないなら、私も死にます。そう思えるほどに。
もしもここで貴方まで失ったら、もう何にすがって生きればよいのか…私にはわからないの!お願いよ…
フィオナが涙を見せるのは、あまりにも珍しいことだった。気丈な彼女は、泣きそうになる度に何度だって耐えてみせてきた。しかし今回ばかりは、大粒の涙が頬を流れ伝う。流石の彼も、これには躊躇してしまった。
そうか、俺の存在は、もうそれほどまでにも彼女にとって重いものに…
ちょうどその時、施設内全体に不鮮明な通信音声が流れ始めた。そして突然、全ての照明が消え、モニターの光だけが室内を照らす。モニターにはゆっくりと"ORCA"の文字が浮かび上がる。
あまりにも異様な光景に施設内はパニックになるが、施設全体に響き渡る声によって、全ては瞬時に静まり返った。
諸君!…あまり騒ぎ立てるな。我々に敵意は無い。遅ればせながら、初見となる…
貴方はもしや、マクシミリアン・テルミドール!?
言わずと知れたORCA旅団の団長にして、狂乱の貴公子。
何故貴方が?目的はな
…それを今から説明する。下らない質疑応答はやめてもらおうか、フィオナ・イェルネフェルト。
何故私の名前を…色々と聞きたいことはあるけど、目先の情報を求めると取り返しがつかない気がする。フィオナ言われた通りにした。
我々が入手した報告によれば、ラインアーク、君達は次の戦いで終わりを迎える。
これに辺りは再び騒然とした。この情報は、フィオナとアナトリアの傭兵と、ラインアーク代表ブロック・セラノしか知らないはずだった。
おっと、もう一度騒ぐようなら、この話の先は二度と無いと思った方が良い。テルミドールは釘を深々と打ち込み、またもや辺りを掌握してみせた。
単刀直入に言おう。我々は、カラード№1と”通じている”_____
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