優しさが足りないこの世界は。

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 外ではザーザーと雨が降っていた。かなりの大降りで、雨音を聞いているだけで憂鬱な気分になってくる。そんな中でのこのニュース。私はハァっと溜息を吐いた。  最近、日本ではどうやら刺青問題が話題になっているらしい。どこかのスポーツ選手が、刺青をファンデーションで隠して試合に望んだものの、試合が進むうちに、汗で刺青が浮かび上がってしまい、国民の間では大きな話題になっているそうだ。  最近は新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に増加したとか、芸能人が結婚したとか、そういう話題ばかりだったから、ニュース界ではかなり珍しい話題だったのだろう。どこのニュース番組も、その話題で持ちきりだった。こんな小さな話題で、ニュース番組が成り立つのだから、今の日本はかなり平和だと思う。  他人が刺青を入れることなんて、知ったこっちゃない。というのが、私の感想だった。刺青を入れるか、入れないかなんて、じゃないか。どうして、刺青を入れているというだけで非難されないといけないのだろう。「それが、スポーツ選手でも、芸能人でも何でもなかったら、貴方たちは非難するの?」と是非とも国民に言いたかった。  確かに、刺青を入れていると悪い人に思えてしまうかもしれない。直接、反社会的勢力という言葉が脳裏に過るかもしれない。でも、全員が全員そうだとは限らないのでは、と思うのは私だけだろうか。実際、海外のサッカー選手なんかは全身に刺青が入っているが、日本人のファンは特に何も言っていない。  別に私は問題になっているスポーツ選手のファンでは無いし、名前も聞いたことがある程度の人だった。だが、私の考えとしては別に刺青が入っていようと、無かろうと、その人は私たちと同じ一人の人間であり、私たちと同じ暮らしを送っているということだ。それなのに、有名人だからって非難をするのは、軽はずみには止めてもらいたい。
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