ホワイトムスクの朝雨

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私はコーヒーカップをテーブルに置いて、 「結局どのくらい待ったんですか、その雨の朝の待ち合わせは…」 上杉さんは少し上を向いて考えると、 「一時間くらいですかね…。なんか忘れてたって言われて、一日怒ってましたね」 私は俯いて、 「酷い彼氏ですね…」 そう言って顔を上げると、上杉さんは目を丸くして私を見ている。 「私、彼氏って言いましたかね…」 ん…。 彼氏じゃないのか。 「違うんですか…。朝からステーキとかカツ丼を食べる年上の彼氏…」 上杉さんはクスクスと笑い出す。 「やだな先生。父ですよ、父」 え、父上の話か…。 「今でもそうですよ。朝からカツカレー、お代わりして食べるんですよ。ステーキも一ポンドなんて軽く食べちゃいますし」 一ポンド…。 パワフルな父上だな…。
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