ホワイトムスクの朝雨

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ヘアスタイルが決まらないなんて理由なのだろうか…。 私は、そんな上杉さんに微笑み、朝食を食べる。 「卵焼、凄く美味しいですね…」 「良かった。これだけはその家の味ってのがあるじゃないですか、先生の嫌いなカレーもそうですけど」 上杉さんはお味噌汁のお椀を置いた。 「あ、お味噌汁もそうか…」 まあ、食事にはその人の味があるという事だ。 私は上杉さんの味は好きかもしれない。 と、言うよりも手料理的なモノは上杉さんのモノしかこの数年食べていない気がする。 上杉さんは嬉しそうに微笑みながら食事をしている。 私もそれに釣られる様に笑顔になった。 「ほら、食事って食べてもらうために作るっていうのが基本なんですよね。でも一人で暮らすと自分のための食事って事になるじゃないですか。そうなると、何でも良くなるんですよね…。それは食事を作るという根本的な目的が変わって来る気がして…」
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