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夏葉は友達との長電話を終えると、急に炭酸飲料が飲みたくなった。友達と長話をして喉が渇いたせいもあるけれど、夏葉の部屋はクーラーが無いので蒸し暑く唯一頼みの扇風機は部屋の熱をかき回しているだけ。
「今夜も熱帯夜かな…… あぁ、暑いっ。こんな時は炭酸に限るよね。氷いっぱいのグラスに炭酸をなみなみ注いで喉の奥へ一気に流し込みたい!!」
居ても立っても居られずペッドから飛び降りるとキッチンへ走った。
冷蔵庫を開けると、お目当てのペットボトルが見当たらない。涼しい冷気に浸りながら、母に聞こうとリビングへ振り返った。
「お母さーん、炭酸のペットボトルが…… あっ!!」
風呂上がりのお母さんが首にタオルを掛け、ソファに座り片手に団扇、もう片方の手にコップを持ち、まさに今炭酸飲料をゴクゴクと喉に流し込んでいるではないか。
テーブルの上には、空になったペットボトルがコロンと横になっていた。
「……くぅ」
先を越されたか…… 飲めないと思うと余計に我慢ができなくなった夏葉。ため息をひとつつくと、とぼとぼと部屋に戻っていった。
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