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夏葉は高校二年生。今月の誕生日で17歳になる。
今は夏休みで、部活と推し活で忙しい毎日を送っている。
部活のない日に友達と単発バイトをこなしたけれど、それは推しのコンサートチケット代とグッズの為に貯金した。
夏葉の家はお小遣い制ではない。お母さんから必要な時に貰う。だから夏葉には自由に使えるお金があまりない。
机の引き出しから財布を取り出すと、小銭をチャリチャリ数えてみた。
「うーん、ペットボトル1本なら買えるかな」
パーカーを羽織り心細い財布をポケットにしまった。スマホを手に持つとリビングへ向かう。
「お母さんコンビニ行ってくる」
「何よ、こんな時間に?」
お母さんが壁掛時計を見ながら聞き返す。
「明日にしなさいよ」
「だって、炭酸飲みたいだもん」
お母さんは、テーブルの上に転がっている空のペットボトルを見た。
「ごめん、飲んじゃったわ」
お母さんは立ち上がりお財布から1000円札を一枚出して、
「これで炭酸飲料2本、買って来てくれる?」
「やった!! サンキューです。行ってきます」
夏葉はありがたくお札を財布にしまい玄関へ向かった。
ドアを開けると夜も九時を過ぎているというのに空気がぬるくモワーッとしている。
「あぁ、まだ暑いなぁ。今夜も熱帯夜かぁ」
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