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レジで会計しているとレジ係の大学生くらいの女の人が、夏葉の後方をチラ見している。
夏葉はバスケ部に所属していて身長が170センチ弱あるけど、ブルースーツの人は夏葉より頭ひとつ分も大きい。
要するに、その人はとても目立つ存在なのだ。
「ありがとうございました」
ペットボトル入のビニール袋を受け取り、振り返った夏葉は驚いた。ブルースーツの人が若い女性に囲まれている。
「サニーフェイスの青山類さんですよね?」
「私、大ファンなんです!!」
「私も!! まさか、こんな所で会えるなんて信じられない!」
やたらテンション高い女達。いったいどこから現れた? ブルースーツの人は無言のまま。夏葉には困ってるように見えたので思い切って声をかけた。
「あの、あの、この人、よく似てるって言われるんですけど、全然違います。私の彼氏なんです。会計終わったよ。お待たせ。早く行こう」
夏葉は強引に、コンビニの出口へ向かって歩き出した。ブルースーツの人もついてくる。
背後から、
「彼氏だなんて嘘に決まってる」
「何よあの子、るいるいを独り占めするなんて許せない」
女達がブツブツ文句を言ってるので怖くなった。
「すみません、勝手なこと言ってしまって」
「なんか、ごめんね」
ブルースーツの人が小声でポツリと言った。
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