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玄関を開けると、少しヒンヤリした空気が流れて来た。お父さんが帰って来ている。お父さんは暑がりだから帰ってくるとすぐにエアコンをつける。逆にお母さんはエアコンが苦手なのだ。
「お父さん帰って来てるけど、大丈夫。上がってください」
「だだいまー」
「お邪魔します」
夏葉とブルースーツの人と二人、リビングに入って行った。
「夏葉、遅かったじゃない…… え、お客様?」
お母さんがこんな時間に?と言いたそうな顔をしている。
夏葉はお母さんに怒られないよう急いでキッチンに入り、冷蔵庫にスプラッシュソーダをしまった。そして、二つのグラスに氷をたっぷり入れ、それをトレーに乗せリビングに戻った。
ブルースーツの人が帽子とマスクを外す。
夏葉は驚きのあまりトレーを落としそうになった。お母さんも驚いている。思わず二人で大きな声を出してしまった。
「あなたは、もしかして、サニーフェイスの?? 夏葉の推しメンさんじゃない?」
「えーっっ、ウソ?! 青山類さん?! まさか本物?!」
本人は記憶が無いと言っていた通りポカンとしている。
「あおやま……るい。さっきの人達にも言われた……」
「さっきの人?」
「この人、コンビニで女の人達に囲まれたの。サニーフェイスの青山類さんですよねって。困ってたっぽいから、私の彼氏ですって言って連れてきちゃった」
「夏葉、彼氏なんかいないくせにー」
お母さんがちゃちゃを入れた。
「部活と推し活で忙しいのよ!」
「はいはい」
「もう!!」
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