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夏葉は、二つのグラスになみなみとシュワシュワコーラを注いだ。いざグラスを持って乾杯をしようとしたら、るいるいそっくりさんが急に頭を押えた。
「これ……この、シュワシュワ」
そう言ったきり、ギュッと目をつぶってしまった。
「大丈夫ですか?!」
「ちょっと、顔色悪いわね」
お母さんが、るいるいそっくりさんの顔をのぞき、おでこに手を当てようとしたら、るいるいそっくりさんの体がグラリと揺れ、そのままソファからスベリ落ち、床に倒れてしまった。
「いやぁ、るいるいっ!!」
夏葉はアワアワと慌てふためいた。顔が青ざめる。
「どうした?」
お父さんがTシャツにスエットを着てゆっくりとリビングに入って来た。
「お父さん、大変! るいるいが倒れちゃって」
「るいるい? お客さんか。それは大変だ。とりあえずソファに寝かせるか」
「ねぇ救急車呼んだ方がいいよね?」
「そうだな」
お父さんがるいるいそっくりさんを抱き起こそうと背中に手を回そうとしたら空を切った。
「「えっ?!」」
「え?」
るいるいそっくりさんは現実にそこにいて、顔面蒼白で意識が無さそうで心配なのに、何故か触ることができない。そればかりか、るいるいそっくりさんは少しずつ少しずつ色が薄くなっていった。透けて見えるまでになったと思ったら、フッと消えてしまった。
「えぇぇ?? 嘘でしょう?! るいるいが、るいるいが消えちゃった?! なんで、どうして、どうなってるの?!」
夏葉は目の前で起きたことが信じられず、それ以上にるいるいが心配で泣き出してしまった。
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