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「ヒデユキ、じゃない“上水戸ジェーン”さんよ、ゲーセン、行こうぜ!」
「おいよ、アキヒロじゃない“上水戸ケン“さんよ」
私ことヒデユキと、アキヒロは小学生時代からの幼馴染で、何かに夢中になると周りが見えなくなる私と、面倒良くフォローしてくれるアキヒロとはいつもつるんで遊んでいました。
そんな二人の中学三年生時代、一大ブームを築く「バーチャルバトラー」という対戦格闘ゲームがゲームセンターに入荷しました。ゲーム好きの私達も完全にブームに乗り、お小遣いをすべて投入する勢いでプレイしていました。
中学生の私達は大人たちに混ざってプレイできるほどの勇気はなかったけど、大人達が遊びにやってこない夕方の早い時間だったら、ちょっとした有名プレイヤーでした。ニックネームみたいな通り名もあり、地名と私が使っているキャラクター名を組み合わせた“上水戸ジェーン”っていうニックネームで、ゲームセンター内では呼ばれていました。
学校からダッシュで家に帰り、近所のみんなの溜まり場だったノリアキの家に集合します。
ノリアキはもっぱら家庭用ゲーム派だったので、ゲームセンターに行くことは無く、アキヒロと二人で近所のゲームセンター「ジョイプラザ」に向かいます。
本当は中学校で子供だけでのゲームセンターへの入場は注意事項に設定されていました。理由は学校側の「ゲームセンターは不良の集まる場所」いう認識のためでしたが、それでも私達の楽しみを止める事は出来ませんでした。
ジョイプラザに向かう途中、アキヒロが話を切り出します。
「今日こそあのカマキリ野郎に会えるかな?」
「あぁ、あの20連勝してた蟷螂拳使いの奴でしょ?」
「キャラクター別ダイヤグラムだと蟷螂拳のレイは下から数えた方が弱いやつじゃん」
「そうだよな、みんなが使ってるダンとかケンとかだと相性最悪だよな」
「なのに勝ち切ってるって、すげえよな」
「殴り勝つのもすごいけど、場所取りもうまくてさ、相手をリングの端に追い込むのもうまいんだよな」
バーチャルバトラーは3本勝負、2本先取で勝ちになるシステムです。強いキャラを使っていれば勝ちやすいんですが、プレイヤーの能力が高ければ、弱いキャラでも強いキャラに十分勝つことが出来るのもこの対戦ゲームとしての醍醐味でした。
今日の連勝記録をどこまで伸ばせるかなと二人で話しながら、ジョイプラザに入ります。
今日もバーチャルバトラーの周りには人が集まっています。対戦画面を見ると「ただいま10連勝中!」の表示が出ていました。その10連勝をしているのが、蟷螂拳使いのレイ。「まさか!」と思い、画面内のレイの動きを見てみます。その動きはまさに前回見た時の“カマキリ野郎レイ”のものでした。
対戦するぜ、と思った時、アキヒロが、
「やべ、学校の先生が来てる」と耳打ちしてきます。
お店の入口で学年主任の先生がジョイプラザの店長と話しています。これからお店を見回りますけどいいですか?みたいな会話でしょう。ただ今回はアポ無しでの来訪だったようで、店長に断られ悔しそうに立ち去っていきました。
私達はレースゲームの影に回り込んで先生の死角に入り、立ち去る後ろ姿を見ています。店長が「大丈夫」という表情で私達に目配せをしてくれました。その表情を見て私達は安心してゲームを再開しました。
「ヒデユキ、俺ちょっと行ってくるわ」
アキヒロは50円をコイン投入口に入れ、スタートボタンを押します。
画面中央に「a challenger has appeared」の文字が出て、カラテ使いのケンを選択し、対戦開始です。
「ROUND 1 READY?」
「GO!」
1本目のアキヒロはガンガン攻めていきましたが、レイにあしらわれ、あっさり負け。
「落ち着け、アキヒロ」
「わぁってるって」
2本目は慎重に攻めようとしましたが、今度はレイがガンガン攻めてきて負け。
結果、アキヒロはストレート負けでした。これでカマキリ野郎は20連勝に記録を伸ばします。
「チクショウ!こいつ強えよ!ヒデユキ、仇をとってくれ」
今度は私が対戦に挑みます。
ふーっと一息ついて、心を落ち着かせてから、ジェーンを選択、対戦開始です。
私も1本目からガンガン前に出ていくスタイルでレイを押し込んでいきます。空中コンボからの大ダメージで体力を一気に奪い、そのまま1本目を先取!
「ヒデユキ、その調子、このままストレートで行っちゃえ」
もちろん相手にペースを渡す気はありません。二本目も同じ戦術で行くことにします。
2本目はレイに中々近づくことが出来ません。時間だけが経過していきます。残り時間が少なくなるにつれ私は焦り、不用意に出した大技は、レイの「予想通り」と言う所だったのでしょうか。冷静に躱され、カウンターを食らい空中高く吹き飛ばされ、ダウン。起き上がる間に時間切れ。
2本目を落としそのまま気持ちを立て直すことが出来ず、3本目は普通にレイに押し切られて負けました。
対戦に負けた後、こんなに強いのは一体どんな奴だって思い、反対側を覗き込むと、対戦相手と目が合ってお互い息を飲みます。
「カマキリ野郎レイ」の正体は、同じ中学校、同じクラスの学級委員のアツコさんでした。
学校では真面目で、クラスを取り仕切っている委員長が、学校のルールを破ってゲームセンターに来ていたこともびっくりだったし、しかもバーチャルバトラーの強豪プレイヤーだったことにもびっくりです。驚いたのは委員長も同じだったようでした。まさかこんな場所でクラスメートに会うなんて思っていなかったのでしょう。
「ゴトウさんに、ソノベさん!」
驚いた表情は、普段学校で見せているリーダーらしい落ち着いた感じではなく、明らかに焦っています。今の委員長は学校ではいつもかけている眼鏡を外し、後ろで束ねている髪をとき、帽子をかぶって制服姿ではない白いブラウスに青いジャンパースカート姿でした。そんな同級生が慌てている様子を、アキヒロと私は驚きをもって見ていました。
私達の登場で、ゲーム外で動揺したカマキリ野郎レイ、改め委員長は、次の挑戦者にあっさり負けてしまいました。
委員長と話をしたくて後ろで待っていた私達は、三人でゲーセンの外に出て話をします。委員長の強さにも興味があったし、何よりゲームの話を共有したかったのです。
「委員長、なんであんなに強いの?ほんと完敗だよ」
「うん、私、お兄ちゃんがいて、パソコン通信で東京の戦い方の情報を集めているの。それを教えてもらっていて」
「へぇ、東京の戦い方か、だから見た事無い戦いだったのか」
ゲームのことを夢中に聞いてくる私に、委員長は嬉しそうに話してくれました。その時の委員長はまるで先生のようでした。またお店に戻り対戦になると私たちの見た事の無い戦い方を実践してくれて、まるで格闘技の師匠の様に厳しく、私達に黒星を付けていきました。
学校では眼鏡で髪の毛を1つに束ね、真面目にクラスを仕切る委員長の別の姿を知っているアキヒロと私は、何か秘密を共有している感じですごくワクワクしていました。
「アツコさん。昨日アキヒロと一緒に考えた戦い方があるんだ、一戦どう?」
「いいわよ、委員会が終わった後に行くね」
アツコさんとゲーセンで出会ってから数か月。私達の勝率はアツコさんに対しては負け越したままだけど、周りの中学生には負けないレベルになってきました。名前の呼び方も委員長からアツコさんに変わっていったのもこの頃からだったかな、と思います。
3人同じタイミングでゲーセンに到着です。
「あー、最後あそこで暴れるか悩んで、暴れて失敗したよ」
「危なかったなぁ。あそこでガード出来なかったら負けてたよ」
「アキヒロさんは、追い込まれてから暴れる癖をなくした方が勝率上がるわよ」
「アツコさん、そうなんだよねぇ、分かってても、それが中々できなくて」
そう言い「気分転換だ」と、違うゲームにアキヒロは移動していきました。
「ヒデユキさん、上達が早いですね」
「あざす。アツコさんの教え方が上手いからだよ」
そんな何気ない会話をしながら、次の対戦相手を待っていました。
「やばい、先生が来た!」誰かがそう話しています。
筐体越しに入口を見ると、学年主任の先生の姿が見えます。今回は店長に紙を渡していて、正式な依頼のようです。
諦めた様子で先生を奥に通した店長を見た後、筐体に隠れてアツコさんに目配せします。補導員先生は10人体制で、学生達を補導し、店の外に連れ出しています。
私は頭をフル回転させますが、ぱっと考えられる逃げ道がありません。
するとアツコさんが「こっち」と私の手を引いてお店の奥の方に引っ張っていきます。逃げ道が余計無くなるっと思いましたが、アツコさんは私の手を離さずどんどん奥に進んでいきます。そして向かった先が女子トイレ。
「えっ、ちょっとアツコさん!」
と抵抗をしますが、アツコさんは手を離しません。そして、さっとドアを開けて中に私を押し込んで後ろ手にドアを閉めました。
外からは、がやがやと声が聞こえてきます。アキヒロが無事に逃げられたのか気になりましたが、店内に戻って見に行くには先生達が押し寄せている中、無理でしょう。こっちは私とアツコさんは狭いトイレの個室の中に二人きりの状態。これ以上、逃げる先はありません。
ドアの外からは外に連れていかれる学生の「ごめんなさい!」という声が聞こえてきます。
私は女子トイレに入ったことも無いし、こんな狭い空間に同級生と二人きりになったこともありません。どうしていいわからないし、何を話していいのか想像もつきません。目の前にはドアを背にして、急にドアを開けられない様に押さえているアツコさん。さっきからうつむいたままです。耳を澄ませているのか、ずっと動かないままです。ただ、アツコさんの両手は体の前で組んだまま、その手が震えているのが分かりました。
ドアの外に人が近づく気配がします。反対側にある男子トイレのドアが開けられる音と、人が入っていく気配が感じられます。私は「次はここか」と覚悟を決めました。それでも目の前で震えている女の子を少しでも落ち着かせてあげようと思い、アツコさんの手を取りました。握った両手からアツコさんの震えが感じられます。大丈夫だよ、ちょっと強く両手を握り、思いを伝えようとします。うつむいたままのアツコさんが顔を上げます。いつもの委員長でもなく、ゲームで楽しんでいる顔でもなく、不安で目が潤み、口がかすかに開き何か言いたそうでした。
個室に二人でいるせいか、呼吸もちょっとつらそうです。目が合ったので、安心させようと微笑んでみました。その私の表情を見てアツコさんも少し落ち着いたようで、表情が少し緩みました。
隣のドアが閉まる音がしました。次はこのドアです。二人とも音を立てない様にじっとしています。息をひそめてはいますが、心臓の鼓動だけは押さえられません。私とアツコさんの心臓のドキドキだけが、この個室で唯一動いているものでした。
結果、ドアは開けられることはありませんでした。
遠ざかっていく足音を聞きながら、危険が去るのを待ちます。何十分も経ったような気がしましたが、実際には1,2分の事だったでしょう。握ったままだった両手を離し、目が合ったままの視線を外しました。微妙にアツコさんの頬が赤くなっていました。きっとかなり緊張していたのでしょう。
「行ったみたいだね」
「、、、そう、ね、、、」
「ありがとう、無事逃げられたのは、アツコさんのおかげだよ」
「、、、うん、、」
「ちょっと外、見てもらっていい?」
「、、、ん、、、、」
私に背を向けて、そーっとドアを開けて外の様子を伺ってもらいます。
「、、、大丈夫」
振り返ってそういったアツコさんは、少しつらそうな、寂しそうな顔をしていました。
ドアから出ると、すでに先生たちの姿はなく、大人たちは普段通りゲームで遊んでいました。
当時のゲーセンは男性の場所で、遊びに来ているのは男性たちだけっていう認識がありました。今回捕まらなかったのは、「女性は来ないので、女子トイレは関係ない」っていう判断をされたのでは、と思いました。
さすがにこのままゲームを続けるのも気が引けたので、入口でアツコさんと別れて、ノリアキの家に向かいます。別れ際に私のことを見つめていたアツコさんが大丈夫か気になりましたが、本人が大丈夫、というので、そのまま見送ります。
ノリアキの家に着いた私は、先に家に戻っていたアキヒロにすごく怒られました。
「おい、ヒデユキ!心配したんだぞ!」
「悪い、アツコさんと奥に隠れて何とか逃げ切ったよ。アキヒロこそ」
「あぁ、俺は非常口から逃げられるのを知っていたから、裏から逃げたよ。ヒデユキ、どこに隠れる場所があったんだよ」
「まぁ、倉庫で、な」
「ふーん、倉庫か。まぁ、二人とも無事で安心したよ」
次の日、一斉補導は緊急全校集会にて報告され、ゲームセンターに行くことが完全に禁止になりました。私達三人もゲームセンターに行く勇気が無くなり、共通の話題の場所にいけないことで、少しづつ元の委員長とクラスメイトの関係に戻っていきました。そして、そのまま受験シーズンに入り、4月を迎え私とアキヒロは同じ高校に、委員長は違う高校に進学が決まりました。
卒業式の日、委員長と久しぶりに話が出来ました。何か言いたそうなアツコさんでしたが、ノリアキの家で卒業記念大ゲーム大会をする予定だったので、ノリアキにひっぱられ、会話もそこそこに離れて行ってしまいました。隣にいたアキヒロが何か言いたそうでしたが、徹夜でのゲーム大会に夢中になっていた私は、そこまで気が回りませんでした。
そして高校時代が過ぎ、それぞれ、大学へ進学していきます。
20歳の成人式の日、東京の大学に通っていた私は、久しぶりに帰郷しました。
水戸に残ったアキヒロとはずっと親交があり、遊び友達のままです。成人式の後、高校生の頃の同窓会に出てお酒を飲み、大騒ぎした後、2次会の時間まで少し時間があったので、駅前にできた新しいゲームセンターで時間を調整します。そこで見つけたレトロゲームコーナーになんと懐かしい、バーチャルバトラーがありました。
アキヒロと久しぶりに、「やってみる?」と合図して対戦を開始します。お互い酔っているので、プレイ内容は雑でしたが、それでも最後に暴れる癖の抜けないアキヒロをぎりぎりやり過ごし、勝ちを拾いました。
「なんだよ、ヒデユキ。暴れてんだから当たれよ」
「暴れるのわかってて当たる人はいないよ」
「a challenger has appeared」
「お、珍しい、今どきこのゲームで挑戦者?」
「まだまだ、若い者には負けないよ」
「さすが、“上水戸ジェーン”、いうねぇ」
「当然ですよ“上水戸ケン”」
「対戦相手は、レイか」
対戦スタートです。
「お、動きがいいねぇ、このレイ」
そうおどけていう私でしたが、実は内心、ヤバいと思っていました。
レイの動きがキレキレで、場所取りから空中コンボ。最適な選択をしてきます。酔っぱらっていたので、雑なプレイをしていましたが、酔いもさめる勢いで体力が減っていきます。
結果、2本目だけぎりぎり勝ちましたが、試合内容は完敗でした。
負けて悔しい思いをしている隣で、アキヒロが、
「やっぱり委員長は強いねぇ」
画面の向こうにそう話しかけて歩いていきます。追いかけようと席を立った私が見たのは、アツコさんとそのお友達でした。
20歳になったアツコさんは髪を肩までのショートカットに少し茶色を入れているようです。化粧をしているのは初めて見るので、中学生時代の委員長とは全く別人に見えました。全然違う大人っぽい様相に、ちょっと見惚れてしまいました。
その視線を見て、ちょっと恥ずかしそうに目をそらしたのは気のせいでしょうか。
アキヒロ曰く、アツコさんも同窓会からの飲み会で、その酔いを醒ますべく友達と駅まで歩いていたという事。
ヒールの高い靴を履き、青いワンピースと白いカーディガン。厚手のロングコートを手に持っている様子は、完全に大人の女性です。
スーツが全く似合っていないアキヒロと私はちょっと気後れしています。
「じゃ、俺たち、二次会の時間だから」
と、アキヒロがアツコさんと女友達に別れを告げます。
私はかろうじて、挨拶だけします。
「お二人さん、それじゃまたね」
「、、ヒデユキさん、アキヒロさん、またね」
お店を出た私達は二次会の会場へ、アツコさんたちは駅に向かって歩き始めました。
「なぁ、ヒデユキ。中学生時代、一斉補導の日があったよな」
「あぁ、あったね」
「あの時、お前、アツコさんとどこに隠れていたん?」
「倉庫っていったような気がするけど」
「それ、嘘だろ」
「なんで?」
非常口の場所や使い方まで知っていたアキヒロが倉庫の場所を知らないわけがありません。倉庫は入口入ってすぐ左手にあるカウンターの隣にあり、先生たちの目を盗んで倉庫に入ることは不可能なのだ、と。
「ん-、多分時効だから言うけど、アツコさんと二人でトイレに隠れてた」
「はぁ、やっぱりね。で、ヒデユキ、お前、アツコさんの事、どう思ってるの?」
「どうって、普通だよ」
「はぁ、そうだよなぁ。あぁあ、アツコさんが不憫だよ」
「ん、なんで?」
「お前、ゲーム以外は本当に全然、ダメダメだなぁ」
アキヒロはそうため息をついて、ポケットから煙草を取り出し、深く一息つきました。
二次会の会場、賑やかなメインテーブルから離れたテーブルで、アキヒロが語りだします。中学生時代、アキヒロはアツコさんから気になる人がいる、っていう相談を受けていたそうです。アキヒロはその気になる人の検討はついていたものの、アツコさんがその気になる人の名前を濁したことを察して、その人の好きなことを一緒に経験していけばいいんでは、そうすればその人も気づくかも、とアドバイスしたそうです。
そして、一斉補導の日の後にまた、相談を受けていたという事です。もうゲーセンにいけないので、好きな時間が共有できないのが辛い、という相談内容。後は告白をするしかない、という事を伝えたものの、タイミングが無くて無理、という事。最後の卒業式のチャンスも、アツコさんに悔いの残らない様にがんばれ、と応援したものの、結果は告白できず、だったという事。
私の記憶がフラッシュバックします。二人で隠れたトイレ。アツコさんのうつむいた顔、不安そうな顔を思い出しました。捕まるのが怖くて震えていたのかと思いましたが、本当はもっといろんな感情があったんだな、と。
「ま、そういう訳だったのさ」
グラスビールを空け、語ってくれたアキヒロ。何にも言えない私。5年ぶりの真実に動揺しつつ、さっきの再会で何にも話せなかったことも、なんとも言えない気分になりました。
その後、ノリアキの家での3次会。お酒の飲み方を知らない3人は酔いつぶれるまで飲んでいます。
酔いつぶれる前、アキヒロに聞きました。
「また、あの時の時間に戻れるかな」
「ヒデユキ次第じゃね?」
「そう、かなぁ」
成人式絡みの休みは3連休。初日に帰省、今日成人式、明日東京に帰る予定でしたが、明日また3人で遊べないか、連絡を取ってみよう。
そこは頼れる親友アキヒロがさりげなくアツコさんの連絡先を聞いていたそうです。何とかなりそうです。
集合場所は、今日再会したあのゲームセンター。
3人とも成人になっているので補導も気にせず、どこにでも入れるし。
今度はちゃんとアツコさんと話をしようと思いつつ、酔いの眠り誘われていきます。
眠りに落ちる前にアキヒロに聞きました。
「今日の再会は、お前、準備した?」
一瞬肩が動いたような気がしましたが、返事は、ありませんでした。
明日は何から話そう、と考えながら、私も眠りにつきました。
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