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うっわ、きっつー! 戦乱の世、きっつー! なんで、こんなところに来たのよ……! なんの罰よ!
それでだいきょうさんは逃げていたのか!
「さ、行くぞ! 大喬」
だいきょうさんはマッチョイケメンの馬に乗せられた。
あちゃー。だいきょうさんはこの体の持ち主であるしょうきょうさんの事を知っているみたいだし、わたしだけ逃げるわけにはいかないよね?
「お前はこっちだ」
王子イケメンが馬上から手を差し伸ばしている。
「……いや、遠慮します」
「何っ?」
「……知らない人の馬に乗りたくないから……」
「……」
「ははっ! 美周朗と呼ばれるお前の馬に乗りたくない女なんているのかよ!」
マッチョイケメンが豪快に笑っている。声でかい。うるさい。
王子イケメンは困ってるよ。そりゃそうだ。
でもイケメンといえど、男とあんなにくっつくのやだよ。だいきょうさんを見てみなよ。マッチョイケメンの前に乗せられてさ……、汗臭そう……。
それに、何をされるかわからない。厳重に警戒しないと!
「では歩いて参ろう」
王子イケメンが馬から下り、手を差し出した。
「……?」
なに? 手を繋ぐの?
「縄をかけられるのは嫌だろう? 馬にも乗りたくないそうだし」
わたし、男の人と手なんか繋ぎたくないんだけど……。
「……縄でいいです」
王子イケメンが目を見開いて戸惑っている。
そりゃそうだ。こんなイケメンの誘いを断る女子など、今までいなかったのだろう。
──だが、わたしは違う! 残念だったな! ふん!
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