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捕虜になった女性達は酒宴の席に連れてこられた。
房のついた赤い提灯が天井から会場を照らしている。床には行灯もあり、夜なのにそこそこ明るい。
敷物を敷いた上にはお膳が並べられていて、男達がずらっと向き合って座っている。その端の中央にはマッチョが、マッチョの左側に公瑾様が座っていた。
大喬さんはマッチョの横、私は公瑾様の横でお酌だ。
人見知りなのにたくさんの人。しかもほぼ男! どうしよう。怖い。
……お酒を飲んでる男の人は特に苦手。恐怖さえ感じる。うぅ、逃げたい。でも今は逃げられる状況ではない。人が多すぎる。
それに、逃げたところでどうしようもない。この世界の事を全く知らないのだから。
すでに夜のお相手として連れて行かれた女性もいる。きつい……戦乱の世きつい……。男なんてろくでもねぇ。くそくらえ!
「……小喬? こぼれているぞ?」
なんで男の相手などせねばならないのか。このあと、夜のお相手とか言われたら急所を蹴って……。
「小喬? 怖い顔して考え事か?」
この上品で優しそうなお顔のイケメンに……?
「どうたのだ? 私が悪いのか?」
──罪悪感が半端ない……。
「うなだれてどうしたのだ!? 悲しいことでもあったのか?」
今の状況が悲しい……。
「……やれやれ」
わたしが上の空でお酒を注ぎ続けるので、公瑾様はとっくりをわたしから奪って、こぼれたお酒を自分で拭いていた……。怒らないのね。
大喬さんは琴を弾いている。音も仕草も優雅で美しい……。マジ女神!
あれ? さっき公瑾様が大喬さんの音に反応した? 何? 大喬さん間違えた?
「おい、小喬! お前もなんか歌え!」
マッチョ……。酔ってるな……。うざ。
「う、歌えません」
「なんでもいいんだよ。歌え!」
ここの歌なんて知らないよ……どうすんのよ。
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