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ここ中国っぽいからな……亡くなったひぃおばあちゃんがよく聞いてた曲でもいいかな……。
大勢の前で歌うの緊張するな……。
「では……」
♪きーみーが~♪
お! 小喬さんの歌声、綺麗。高音が出しやすくてよく伸びる。この体で歌うの気持ちがいい。
~♪
ざわついていた酔っぱらいどもが急に静かになった……。
「お前……なんだそのぐっとくる歌詞と旋律はよぉ……大喬、お前と船の上で聴きたいぜ……!」
マッチョ……染み入ってどないした?
「ちなみにそしゅうってどこだ?」
「長江の下流にあるところ」
……ってひぃおばあちゃんが言ってた。確か。
ん、待てよ? 黄河だっけ? あれ、黄河ってなんだっけ?
「なにっ! 我らが呉か!?」
……? ご? 五? 合? どこやねん!
「はい」
知らんけど。感動してるからそういう事にしとこ……。
「小喬……。お前が、あのような情緒あふれる歌をこれほどまで美しく歌いあげるなんてな。感心したぞ」
公瑾様が目を輝かせている……。
「あ、ありがとうございます……」
公瑾様は袖の下から笛を出して横に構えた。
いつも持ってるのかな? 音楽家?
すご! あの歌を一回聴いただけで吹けるのか……。
笛の音色は透き通っていて、すーっと耳に入ってくる。公瑾様の雰囲気そのまんまの音。
──しっかし、まぶしい男だな……。
美しい笛の音が光をまとい、キラキラと公瑾様の周りに降り注いでいるかのよう。
お酌をしていて分かったけれど、この人は誠実で優しくて皆に慕われている。彼の周りには男女問わず、人がたくさん集まってくる。
公瑾様、さぞかしモテるんだろうなぁ。
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