170人が本棚に入れています
本棚に追加
──?
さっきまで電車に乗って大学に向かっていたはず。
目の前にはうっすら霞がかった、どこまでも続く美しい花畑。空は澄みきったピンク色だった。
「えーっと、橋本喬香さん?」
女性のような声が聞こえたかと思うと、その主が目の前に現れた。
──神様だ!
一目で分かった。神様だ!
「そう。私はあなたの世界で神と呼ばれる存在。分かりやすいよう、あなたの中の神様のイメージを具現化してみたわ。アジアの命を預かる神が私。……ごめんなさいね。あなたの命の壺を誤って割ってしまったの」
「ん? なんのことですか」
「あなたは死んでしまったの」
「えっ!?」
「ここはあなたの世界で言う天国への入り口」
「うそ……困ります! まだ死ねません! 母を残して死ねません!」
「大丈夫だから落ちついて? 今から生き返らせるからね」
「母にはわたししかいないんです! 母の元に帰らなきゃ! 帰して下さい」
「ちょっと暴れないで、今から戻すから! あなたの魂が揺れて、動かしにくいのよ!」
「あっ……ちょっと! だから、暴れないで! ……落ち着いて! あっ……! やっべ……時代間違えた……」
最初のコメントを投稿しよう!