170人が本棚に入れています
本棚に追加
1 まぶしっ!
「ここどこ……」
今は夜? 月が出ている。
藁屋根に白壁の民家が立ち並び、赤い提灯がそこかしこに灯っている。向こうに見える高い壁は……城壁ってやつ? なんか昔の中国っぽい……街……?
うわっ! 焦げくさっ! ……なんか火事なんですけど、よくみたらそこいらが燃えてるんですけど! ボロボロの人が転がってるんですけど! 血の跡があちらこちらにあるんですけど! ひー!
──何ここ! ……地獄!?
周囲をキョロキョロ見回していると、視界に棒が入ってきた。
何これ? どこから生えてるの?
──ひぇっ! ななな、なななな、え? どういうこと? ええ?
矢が胸にぐっさり刺さっていた……。
慌てて一気に矢を抜いたが、不思議なことに一滴の血も出ず、他に傷もなかった。
「喬香さん?」
頭の中にさっきお会いした神様の声が響いてきた。
「神様? ここどこですか! 早く元の世界に帰して!」
「あなたが暴れるから戻す時代を間違えてしまったのよ。その時代の魂がちょうどさっき亡くなってしまって……」
「なっ、困ります! 帰して!」
最初のコメントを投稿しよう!