1 まぶしっ!

1/6
前へ
/150ページ
次へ

1 まぶしっ!

「ここどこ……」  今は夜? 月が出ている。  藁屋根に白壁の民家が立ち並び、赤い提灯がそこかしこに灯っている。向こうに見える高い壁は……城壁ってやつ? なんか昔の中国っぽい……街……?     うわっ! 焦げくさっ! ……なんか火事なんですけど、よくみたらそこいらが燃えてるんですけど! ボロボロの人が転がってるんですけど! 血の跡があちらこちらにあるんですけど! ひー!  ──何ここ! ……地獄!?  周囲をキョロキョロ見回していると、視界に棒が入ってきた。  何これ? どこから生えてるの?  ──ひぇっ! ななな、なななな、え? どういうこと? ええ?  矢が胸にぐっさり刺さっていた……。  慌てて一気に矢を抜いたが、不思議なことに一滴の血も出ず、他に傷もなかった。 「喬香さん?」  頭の中にさっきお会いした神様の声が響いてきた。 「神様? ここどこですか! 早く元の世界に帰して!」 「あなたが暴れるから戻す時代を間違えてしまったのよ。その時代の魂がちょうどさっき亡くなってしまって……」 「なっ、困ります! 帰して!」
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

170人が本棚に入れています
本棚に追加