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「つーまーんーなーいー!」妹が叫ぶのも無理はないだってココ最近ずっと雨週間天気予報をみても晴れの文字すら無い、室内遊びより屋外で遊ぶのが好きな妹にとって今は最悪の時期、妹もイライラしているが私もイライラする、髪の毛は湿気でまとまらないし置いてたケーキもカビてダメになってしまった。梅雨の時期なんていいことなんて一つも無い。
「ねぇいつまで雨続くの?もう嫌だよー」
それはみんなが思っていることなのはわかっているのに、湿気やら低気圧やらでイライラしていた私は妹に当たってしまった。
「そんなんみんなが思ってる事やのにわざわざ言わんくてもええやん梅雨好きな人とかおらんで!」
すると母がキッチンから顔を出して私に言った。
「お母さん梅雨めんどくさいけど結構好きやでー」
私は耳を疑った、この世に梅雨が好きなひとが存在するのかと、しかもこんな近場に私はすぐ反論しそうになってしまったが梅雨が好きな人の話が気になったので聞いてみることにした。
「なんで梅雨が好きなん?」「そうやねーなんか落ち着くからかなー」
母の回答はなんだか期待はずれだったが別の話もきっとまだあると思い、聞いてみたらこんな答えが返ってきた、
「音が落ち着くからかな」
私はその話が気になったので深掘りしてみることにした。「お母さん音が落ち着くってどうゆう事?」すると母はキッチンで料理する手を止めて私と妹がいるリビングに来た。
「お母さんね昔雷が大嫌いだったのよ、学校の時に台風が来ててね凄い雨と風で学校が吹き飛ぶかと思うくらい激しくて、凄い雷も鳴ってるのよ、一番凄かったのは忘れもしない五時間目の前のお昼休みの時に、体育倉庫の中に凄い雷が落ちたのよ本当に一歩間違えればお母さん死んじゃってたかもしれないそんな怖いことがあったのよ。」
「けどそんな怖い思いをしたのに梅雨が好きなんだよねそれはなんで?」
「それを今から話すのよー」
話の腰を折ってしまったと思いながら話をまた聞く
「雷が落ちてお母さん含めてみんながパニックになってるのよ、けどこの大きな一発以来遠くで鳴ってるくらいで全然近くに落ちることは無かった、クラスで一番お母さんが雷を怖がってたのに一番早く落ち着いたのよ、多分だけどお母さんのお母さんあんたにとってのおばあちゃんやね、が言ってたことが怖いもんに直面してもその奥にある別の物に耳を傾けなさいって言ってたからかな、それで雷の轟音の奥にある雨のパラパラ落ちる音が落ち着かせてくれたんやろうな。」
母は話し終わるとさっさとキッチンに帰ってしまった。そんなこと考えたこともなかった目の前にあるものだけに集中するだけで、その奥にある何かに気づいていない私の今の状態だと思った、もう少しだけ梅雨の奥にあるいいところを探してみることにした。
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