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 仕事を終えた二郎君にくっついてマンションへ行った。1Kのこぢんまりした一室。二郎君は部屋に着くと冷蔵庫で解凍しておいた真アジの干物を焼き始めた。「新米買いに行ったら野菜もくれました」と二郎君が指差す先には一袋の米袋とビニール袋に詰め込まれた野菜が置いてあった。どうやら町内の農家から直接買っているらしい。もらった野菜で味噌汁と副菜を作り焼けた干物を皿に置いた。俺は炊けた新米をよそった。  干物も野菜も米も美味しかった。が、お互い次に控えているものの存在が大き過ぎて感想を言い合いながら食事をするような雰囲気ではなかった。ただ、食事と二郎君に対する感謝の言葉は忘れずきちんと伝えた。歯磨きぐらいしとくか、体ぐらい洗っとくか、といった感じで着々と準備を進める。風呂場から出てどうせ脱ぐのにと思いつつ服を着た。ベッドに座っていると二郎君も風呂場から出てきた。俺の隣に座る。目の下の火傷の跡を掻きながら「できるかな」と呟いた。 「俺の穴がちゃんと広がれば恐らく可能です」
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