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多分そういう意味で「できるかな」と言ったわけではないだろうなと思いつつもそう答えた。二郎君の不安はわかる。俺だって不安だ。正直ほんの少しだけ怖い。だから自分の気を逸らすためにとんちんかんな返答をした。俺は二郎君を見る。二郎君も俺を見た。俺は小さく頷いた。それを合図に二郎君が顔を近付けた。父親と母親のパーツを厳選して丁寧に作り込まれた顔。この人とセックスするのか。あ、俺今朝髭剃ってきたっけ。尻の穴のことばかり考えていてそっちの配慮を忘れたかもしれない。なんてことを考えているうちに二郎君の薄い唇が俺の口を塞いだ。唾液を含んだ舌が入り込むのと同時に二郎君は腕を伸ばして左腕で肩を抱くと右手で髪を撫でた。先手を取られたと思った。舌を伸ばして二郎君の唾液を受け取った。二郎君が唇を離した。
「傳嗣さんベロ出してみてもらっていいですか」
「べ」と言いながら舌を出した。二郎君がまじまじと見る。それから何も言わずに俺が出した舌を咥えるようにして啜った。俺は思わず仰け反った。
「今舌を見た理由は何ですか」
「いや、ちょっと短いかなと思って」
「え、そうですか」
「短いからどうってわけじゃないんです」
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