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「いや、お礼とかそんな」二郎君は首を横に振る。「俺がしたくてやったことなので」とビーフンを食べた。俺も鶏レバーとご飯を食べた。これで話は終わりかなとも思った。それでもいいかな、と。だがビーフンを飲み込んだ二郎君が再び口を開いた。 「お礼とかじゃなくて」 「はい」 「俺はまたしたいです」  今度は俺が目を逸らした。定食に付いてきた中華スープを喉に流し込んだ。 「傳嗣さんにもっと喜んでもらいたい」 「俺ばっかりというわけにはいかないです」  これだけは主張したかった。二郎君にも気持ち良くなって欲しい。いや、二郎君が嫌ならいいし俺に触られたくないなら触らない。それを付け加えようと顔を上げた。二郎君は皿を持ち上げて残ったビーフンを掻き込んでいた。皿を置くと俺を見る。 「干物食べに来てください」腹を決めたような顔をしている。「俺、傳嗣さんとちゃんとしたいです」  俺は何も言わずに何度も頷いた。
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