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 昼休みを終えて二郎君は職場に戻った。俺は近くのファミリーレストランまでカブで移動した。とりあえず、お互い“したい”という意志を持っていることは確認できた。大きな収穫。旅行中のエッチな出来事って、何となく非日常なシチュエーションで盛り上がって及んでしまうイメージがある。童貞だから知らんけど。だからきちんと確かめておきたかった。良かった。  席についてから店内のWi-Fiを使ってインターネットに接続する。さて、問題はどちらがどちらの役をやるかだ。俺の中ではほぼ決まっているけれども。とにかく二郎君には無理をさせたくない。精神的にも身体的にも。セックスを怖いとか痛いとかそういう印象だけにはさせたくない。いや、そういう俺は童貞だからセックスに抱いている印象など何もないけれど。逆に、だ。何も知らないからこそ挑戦できるという強みがある。俺が童貞のままこの歳になったのは二郎君を受け入れるためだと、今なら思える。まあその一方で少しは経験を積んでおけば二郎君を安心させられたかもなとは思うけれども。
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