品行方正がモットーです。

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品行方正がモットーです。

制服は着崩さず、髪は染めずにストレートロング、授業は真面目に受けるし生徒会にも入ってる。 絵に描いたような品行方正、成績優秀、それが学校での私、桐島桜。 幼い頃からの両親の教育による賜物だ。 「クソくらえ。」 本音ではそう思っていても、たった5文字すら声に出せない。親にとってはこれ以上ないくらい子育て成功なのだろう。 ある夜、鬱憤が溜まりに溜まって行動に出た。親の目を盗んでこっそり家を出て、誰だか分からないような格好をして、誰も寄りつかないような廃墟で一服する。 最初は一吸いで死ぬほどむせたが、今ではむしろ煙に生かされている。 吸い終われば、寝転がって夜風に当たる。風で木の葉同士が重なり合う音も心地よい。 誰も知らない、私だけのルーティン。 ◇◆◇◆◇◆ うちの学校では月に1度、身だしなみチェックがある。誰がチェックするかというと、生徒会が駆り出されるわけだ。 (あぁ、都合の良い雑用係を笑顔で引き受けるのも面倒くさい。) そう思いつつも、真逆のことをしている自分が嫌になる。せめて仕事せずに終わりたいと願ってもそうはいかなかった。 「ちょっと待ってください、髪もメイクも校則違反です。」 「えっ、今日その日!?」 校門前で呼び止めたのは同じクラスの夜凪楓。こんな日でも清々しいほどの校則違反だ。 「あなたたちも違反です。」 続けて彼女の後ろにいた友人達にも告げる。 「生徒会うざ。」 「いーじゃんちょっとくらい。」 憎しみと嫌悪が混ざったような目を向けてくる。だからどうということはないが。 彼女は仲裁するかのように「まあまあ。」と言った。 ギャルグループの1人で、いつ見ても楽しそうに騒いでる。悩みなんてなくて、なんのしがらみもなくて、生きるのが楽なんだろうな。羨ましい。 彼女にはそんな印象を抱えていた。
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