0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
品行方正がモットーです。
制服は着崩さず、髪は染めずにストレートロング、授業は真面目に受けるし生徒会にも入ってる。
絵に描いたような品行方正、成績優秀、それが学校での私、桐島桜。
幼い頃からの両親の教育による賜物だ。
「クソくらえ。」
本音ではそう思っていても、たった5文字すら声に出せない。親にとってはこれ以上ないくらい子育て成功なのだろう。
ある夜、鬱憤が溜まりに溜まって行動に出た。親の目を盗んでこっそり家を出て、誰だか分からないような格好をして、誰も寄りつかないような廃墟で一服する。
最初は一吸いで死ぬほどむせたが、今ではむしろ煙に生かされている。
吸い終われば、寝転がって夜風に当たる。風で木の葉同士が重なり合う音も心地よい。
誰も知らない、私だけのルーティン。
◇◆◇◆◇◆
うちの学校では月に1度、身だしなみチェックがある。誰がチェックするかというと、生徒会が駆り出されるわけだ。
(あぁ、都合の良い雑用係を笑顔で引き受けるのも面倒くさい。)
そう思いつつも、真逆のことをしている自分が嫌になる。せめて仕事せずに終わりたいと願ってもそうはいかなかった。
「ちょっと待ってください、髪もメイクも校則違反です。」
「えっ、今日その日!?」
校門前で呼び止めたのは同じクラスの夜凪楓。こんな日でも清々しいほどの校則違反だ。
「あなたたちも違反です。」
続けて彼女の後ろにいた友人達にも告げる。
「生徒会うざ。」
「いーじゃんちょっとくらい。」
憎しみと嫌悪が混ざったような目を向けてくる。だからどうということはないが。
彼女は仲裁するかのように「まあまあ。」と言った。
ギャルグループの1人で、いつ見ても楽しそうに騒いでる。悩みなんてなくて、なんのしがらみもなくて、生きるのが楽なんだろうな。羨ましい。
彼女にはそんな印象を抱えていた。
最初のコメントを投稿しよう!