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ベッドに横たわり、ぐっすりと眠っている彼。
その前に立膝で座る白いワンピースを着た長い髪の女の子の姿だった。
――誰!?
驚きのあまり、声も出ない私の前で、彼女が愛しそうに彼の頬を撫でた。
そして、彼女は彼にキスを墜とす。
ゆっくりと彼女は顔をあげ、私の方を振り返って勝ち誇ったように微笑んだ。
まるで私が見ていたことを、最初から気付いていたように。
怒りなのか、悲しみなのか、震えて、噛みしめた唇が痛い。
咄嗟に彼の部屋を飛び出した。
何て酷い話だろう、二股なんて。
合鍵を持っている私に、いつかバレるとは思わなかったの?
だったら言って欲しかった。
他に好きな人が出来たのならば、別れようって言ってくれたらよかったのに。
見たくなかった、知りたくなかった。
あの女の子、私よりも年下だった。
彼の大学の友達だろうか。
そうよね、五つも年上の彼女より若い子の方がいいものね。
「もう、別れよう」とだけ、送ったメッセージの後、私は彼からの一切の連絡を遮断した。
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